7.31.2010

dyson design engineer

松屋銀座で行われている「風のとおり道-エアマルチプライアーにおけるダイソンの新たな挑戦」とアップルストア銀座で行われた「山中俊治×Martin Peek トークショウ:ダイソンのデザインと技術力」へ行ってきました。


展示会場には数台のエアマルチプライアーが並んでいて、新型の楕円型や首長型も置いてありました。なぜあの形で風が生まれるのか?という風が増大する仕組みについては発表直後に色々資料を探して「気圧差を利用して自然な風を生み出す」という上手いこと考えたなと感心してました。実際に風を浴びてみると確かにフワっと風がやってきます。例えるならこの輪っかは風が吹きこむ窓と言ったところでしょうか。扇風機の叩きつけられる風とは違います。運転音に関しては小さい空間に5、6台置いていたのと、什器天板との共振が起こっているのか若干ノイジーに感じました。あとは「自然風」という特徴を外見から感じないというところでしょうか。確かに個性的で未来的な外観をしていて、革新性を感じる見た目ではあるのですが、エクスペリエンスとしてのデザインとプロダクトとしてのデザインにギャップを感じます。dysonとしては「未来の家電」というイメージを推したいのでしょうね。


トークショーではdyson社内でのデザインエンジニアの仕事についてを語られました。まずdysonの中には「デザイナー」と呼ばれる人はおらず、全員が「デザインエンジニア」であるということ。これは「技術に関して深い理解がなければ最適な形など生み出すことは出来ない」という考えから、デザインエンジニアは製品開発の全工程に関与するそうです。もちろん最初はスケッチによるコミュニケーションも行うし、ダンボールによるプロトタイピングも行い、CADやRPによる性能検証などにも関わります。


それとdysonは最初から扇風機を作り変えようとしていたのではなく、他の製品の開発中に見つけた高速気流の特性を何かに使えないかと考えた末、扇風機というカテゴリに至ったそうです。dysonでは基本的にこの「用途不明だけど面白い現象」を何かに有効利用できないかというスタンスらしいです。普通の企業なら「で?それがどうした。」と一蹴されてしまうところを「出来るところまで突き詰めろ」と研究を容認するdysonの社風が革新的な製品を生み出すことを支えています。この話はホンダっぽいですね。流石にビジネスですから「いつ売り出せるんだ?」的なプレッシャーはあるようです。こうして生み出された利益の多くは再び研究開発費に回り、技術の探求に費やされるそうです。

この様にdysonは最初からニーズを見ているのではなく、流体制御技術に特化して研究し、そこで得られた発見をマーケティングと照らし合わせながら製品化するようです。そのために社内には科学者も大勢いて、日夜研究が行われているらしい。Martinさん曰く、dysonでの製品開発は子供(アイデア)を大人(製品化)になるまで育てるような感覚だそうで、内容的には大学の延長の様な感じで、コスト管理と規模が異なるそうです。

最後にはロボット掃除機などの話題もちょっとだけ出てきてトークショウは終了。dyson、今後も気になる企業です。

0 件のコメント:

コメントを投稿