12.26.2010

PROTOTYPE04 & REALITY LAB


一ヶ月ぶりの更新。先日、DESIGN HUBの「プロトタイプ展」と21_21の「REALITY LAB」を見てきました。

この仕組みの構造体、いつ見ても触りたくなります。

LEDの点光源を面光源に変換する導光板を利用した照明。いわゆるエッジライトを応用していて、とても薄い筐体にできる。

説明が難しかった。これは座標値を色相に変換する回路らしいです。

チタンのアクセサリ。僕はどちらかというと型の方に惹かれました。

プロトタイプ展は完成品の展示が殆どで”プロトタイプ感”にちょっと乏しい内容で、昨年の方が見ごたえあったなぁと感じてしまいました。もっと剥き出しのモノが観たかった。

DESIGN HUB : PROTOTYPE 04(26日まで)
http://www.superprototype.net/




REALITY LABは服その物よりもそのバックグラウンドを記録したドキュメンタリー映像が良かったです。繊維系の製造、加工現場ってそういえばあまり知らなかったので興味深い内容でした。繊維の編み方から染色、乾燥まで職人の技が幾重にも織り込まれてるんだなぁと。複雑な折り方もそれを支援するソフトウェアを開発した大学の先生がいらっしゃる様で、「日本でなければ作れない」という言葉の理由が良くわかりました。

会場には展示意外にも触れる服のサンプルがあり、実際に広げたり畳んだりできます。もちろん広げてみましたが、畳むのは難しいです。プリントされた箔と折り目を頼りに元に戻しました。「戻さないと帰っちゃいけない雰囲気」だったんです。展開1秒、収納10分。練習すれば1分かなぁ。あと、広げても服のどの部分かわからない・・・

21_21 : REALITY LAB(26日まで)
http://www.2121designsight.jp/program/reallab/index.html

11.22.2010

co-design デザインビジネス塾(傍聴)


本当に色々あって投稿が遅れに遅れてしまいましたが、9月下旬の少し遅い夏休みの為に神戸へ帰省する途中、今年から大阪で始まったco-design「デザインビジネス塾」という若手のデザイナーを育成しようという集まりの円卓会議の1つに参加してきました。場所は中ノ島BANKSという大阪・梅田から環状線で一駅と徒歩5分の河川沿いに作られた商業施設。この空間はこういった場所を有効利用する実験の一環でもあるみたいです。



今回の円卓会議の座長はオープンデスクでもお世話になったムラタチアキさん。「大阪発エコと創エネが世界を救う」というテーマで、大阪ガス、シャープ、三洋電機からエンジニア、デザイナーの方をお呼びして議論が行われました。始めに大阪ガスとシャープの方は社会システムとしての、三洋電機の方はよりパーソナルなレベルでのエコと創エネについて
お話して下さいました。

各企業の環境課題に対する取り組みを始め、レジ袋とエコバッグを例にした既存の社会システムのサイクルを逸脱してしまうことによる見えない環境負荷の増加や、未来の環境都市大阪の姿などが話題になりました。傾向としてはどの企業も単発のエコではなく、ソリューションとしてのエコロジーの達成が目指されているのが感じられます。また、エコ=お得という製品の消費者向けの価値感がなかなか外せない現状も課題の様です。

最近、シャープや三洋が太陽電池を納入したメガソーラー発電所の特集を良くニュースで見ます。ソーラー発電所は面積が必要という課題はありますが、発電所建設の工期は短く(風雨に耐えるパネルが設置できれば良い)、環境への負荷も低い(大きな建物が必要ない)というメリットもあり、使われなくなった施設の跡地をソーラー発電所にするというのが今の流行らしいです。これからの創エネに関わるメーカーの流れとしては、エコロジーな都市システムを構築し、それパッケージとして世界に向けて輸出していくという、まさにソリューションとしてのエコデザインが進められています。その中でデザイナーはどの様に振舞うかを考えなければいけませんね。

終了後、ムラタ塾の方々と三洋電機デザインセンター所長の清水さんを囲んで近場のおでん屋で飲み会になりました。うっかりこの様子をカメラに収めるのを忘れてしまった。もったいない。

10.29.2010

Tokyo Designers Week 出展のお知らせ

10月はどたばたしててブログに手が回らず、直前になりましたが東京デザイナーズウィークに昨年の1000cc Creative Competitionの受賞作品、rainy.toneのプロトタイプが出展されます。会場へ来られる方は是非お立ち寄りください。 僕は土曜日午後に会場をうろつく予定ですが、晴れた日にももう一度行きたいなと思ってるところです。

2010年10月29日(金)~11月3日(水)まで開催されるTOKYO DESIGNERS WEEK(http://www.tdwa.com/)にしろくまのあくびプロジェクトが出展します!!
今年で25年目を迎えるTOKYO DESIGNERS WEEKは、さまざまなジャンルが融合した大規模なデザインイベントで、今年は「環境」×「デザイン」 をテーマに掲げています。
同展示でしろくまのあくびプロジェクトは、2009年にJDNと共同で開催した第1回クリエイティブコンペティション「1000cc」の受賞作品を展示します。
第1回1000ccは2009年8月17日~10月13日に実施され、初回にも関わらず528件の応募総数を記録しました。その際の募集テーマである“雨×sweet”にちなんだ、憂鬱な雨をsweetにする個性溢れる9つの受賞作品のプロトタイプが展示会場に並びます。
ぜひお越しください!


JDN:TOKYO DESIGNERS WEEK 2010
http://www.japandesign.ne.jp/aki/10/tdw/info.html

千趣会デザインプロジェクト
http://shirokumanoakubi.jp/1000cc/tdw.php

9.27.2010

作品|RABITY & CLALA (core robot design project)

Smile Experience 2010と昨日のオープンキャンパスで展示されたcore robot design projectの未来プロトタイプの成果について。左から「MARON」「CLALA」「RABITY」「FARM WORKER」「VOYAGE」と命名されています。「RABITY」と「CLALA」が僕の制作です。

RABITY - anywhere fun walk
5つのコンセプトの中で最もベーシックな提案。成熟された二足歩行技術は地形に影響されないモビリティとなります。RABITYは階段も砂利道も石畳も芝生も自由に移動できるオールラウンドコミューターとして、さらに乗るだけでなく人に付いて歩く一緒に生活するパートナーロボットとしてデザインしました。人と馬の関係に近い存在です。

CLALA - the first mobility
ベビーカーロボットモビリティの提案。階段やエスカレーター、電車の乗り降りで無理をしている方は多いと思います。そもそも、人に最適化された都市空間においてタイヤ型モビリティーでは対応し切れない状況が多々あります。二足歩行技術はモノを人に近づける技術ととらえて、ベビーカーに応用することを考えました。多くの自由度を持つ脚を得たことによって人環境に対応するだけでなく、タイヤ走行時も状況に合わせて常に安定姿勢を保つことが出来ます。


後輩の提案はもうちょっと跳んだコンセプトになっています。一緒にどっかへ跳んでいっても良かったのですが、ちょっと実現性を見据えてバランスをとりました。ロボットモビリティは知性を持った乗り物ということで活用可能性は様々考えられます。しかしながらまだまだ自転車やクルマほど人はロボットを信用してくれないんじゃないかと思います。こうしたモビリティが当たり前の世の中にしていくには開発するエンジニアだけでなく、デザイナーの立場からやらなければならない事はたくさんありそうです。このプロジェクトにはそういう側面もあるわけです。


core robot design project


ちらほら色んなところで取り上げられています。gizmodoでも紹介されました。(石田が開発者っぽく扱われてますがそれは間違いですよ。)デザイン担当部分にも触れて頂けるのはありがたいです。

9.22.2010

作品|repose -solar sailplane- (3DCG AWARD)


3DCG AWARDに応募している作品です。「出してみない?」と急遽勧められて土壇場で参戦を決定。全力でやるなら一ヶ月は欲しかった。

構想だけかなり前からあって、いつかスケールモデル(R/C版)を造りたいと密かに企んでいる動力付きセイルプレーン(グライダー)のデザイン。特徴は機体後部の可変ピッチプロペラで、滑空時は姿勢制御に利用します。元は災害時に高層ビルの屋上などから発進、自律飛行を行い、搭載したカメラでいち早く現地の状況をレスキュー隊や消防隊に伝えるというレスキューロボットの1案。単純に「空飛んでみたい」という動機もありますが。

今回はデザインというより3DCGのコンテストなので、理屈うんぬんよりも単純な綺麗さなどに注力。ピッチ制御の機構をアニメーションで見せたり、機体のシルエットを見せる様にしています。

現在9月26日までWEB経由での一般審査が行われています。良いなと思ったら是非五つ星評価を(笑)



9.20.2010

core robot design project in smile experience 2010

春から始まった山崎研とfuRoのコラボレーションによる二足歩行ロボットのデザインとプロモーションプロジェクトが、オープンラボ「Smile Experience 2010」でいよいよ一般公開になりました。「core」という先日発表された二足歩行ロボットのプロトタイプは約1年半前から開発が行われていたもので、今年2月から始まったプロジェクトにおいて、デザインではこのロボットをプロモーションし未来の人とロボットの関わりを描くことになりました。


僕はプロダクトデザインチームを担当し、学部の後輩3人と「core」の技術の未来形を5つのコンセプトとして提案する事になりました。3Dモデリングも光造形による出力も、ロボット並の複雑なモノのデザインも初めてに近い後輩3人にはかなり重い課題だったのですが、何とか形になりました。後輩3人よりも彼らの作品をうまく説明できてしまうのが不思議です。未来プロトタイプについてはまた後日書きます。


プロモーションチームではロゴ、グラフィック、会場構成、WEBなどを行っています。WEBに関してはhtmlへのコーディングやFlashなどでフォローを行ないました。


プロジェクトウェブサイトはこちら
core robot design project


今後も引き続きfuRoの方々と何かやらかしていきたいです。

9.11.2010

CG : PackBot EOD

昔のバックアップを掘り返していたら、懐かしい3Dのデータを見つけました。それが上の画像のiRobot PackBot EODです。高専の時に調査対象としてこのクローラーロボットの情報を集めていて、写真資料から寸法を割り出し、Shadeでコツコツ作っていたものです。今見ても良くここまで形も素材設定も作りこんだなぁと感心してしまいます。レンダリング時間はこの画像だけで3時間40分ほど。今の環境ならもっと速いですが。

調査対象だったのもこれを作った理由ですが、3DCGは好きなように描けてしまうので、「きちんとスキルを身につけるには実在するものを丁寧につくり込むのが良い」と聞きました。これを作った時はまだShadeもバージョン7か8で、Shade歴1年くらいだったと思います。

 


8.17.2010

Particle Light

先週は二泊三日のゼミ合宿に行ってきました。上の写真はマニュアルフォーカスで焦点距離を最短に設定して撮影した花火の様子です。ちなみに昨年はシャッター開放によるライト・グラフィティや星空の撮影を試したりしてました。


写真だけでは飽きたらず、ムービーで撮って編集までやってしまいました。気がつけば学生最後の夏休みです。

8.08.2010

SENSING NATURE

人が少なそうな平日の昼間を狙って、先日、森美術館で行われているネイチャー・センス展に行ってきました。セカンドネイチャーも行きそびれたので吉岡徳仁氏のインスタレーションは初めて見ます。


作家:吉岡徳仁
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本」ライセンスでライセンスされています。

最初に目に飛び込んでくるのは「SNOW」。正直、この手のものは写真じゃ伝わらない。雪に見立てた羽の浮遊感や、舞い散る羽の向こうから差し込む光の具合など、言葉にした瞬間に安っぽくなってしまいます。白はこの作品のテーマカラーでもありますが、空間も作品も白という状態にすることで、色に情報を失わせて羽の舞う現象へ意識が向くきっかけになっていると思います。雪の日に空を見上げた感覚が何となく湧いてきます。彼が「形」を作る人ではないということがよくわかる。


余談になりますが、中に小さな風車が2つ程あってそれらが羽を舞い上がらせるのですが、そのうち風車から発火しないかがちょっと心配です。


作家:吉岡徳仁
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本」ライセンスでライセンスされています。

1年という時間をかけて育てた結晶の塊「The Light」。思わず触ってみたり、様々な光を当ててみたくなる。


作家:篠田太郎
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本」ライセンスでライセンスされています。

「銀河」という作品。円形の水面は銀河。水滴による波紋は1つの星。時折、天井から一斉に一滴だけ落ち来るのですが、その一瞬を見逃さない様にじっと見てしまいます。rainy.toneの展示にこういう仕掛けを施したいところです。


作家:栗林隆
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本」ライセンスでライセンスされています。 

最初に見えるのは土の中、落ち葉の中。穴から顔を出すと木々がそびえているのが見える「ヴァルト・アウス・ヴァルト(林による林)」という作品。小動物になった感覚がユニークです。


「ネイチャー・センス」というテーマだからか、ホントにアートっぽいアートよりかは自然に楽しめる気がします。おすすめです。写真が撮れるだけでもかなり美術館の在り方が変わった気がしますが、残念なのは視覚とせいぜい聴覚にしか情報が入ってこないことです。僕としては例えば「Snow」の空間の中に入って寝そべって、体に雪(羽)が積もっていく感覚まで味わってみたいところです。


しかし、トークセッションがあると知っていたら今日行ったのに…調査不足!

8.05.2010

Rhinoceros Workshop

朝から夕方までのライノ初心者向けワークショップを研究室で開催。PLANEの方に講師として来て頂きました。実習課題はiPhone4で難易度低めです。自分は余った時間で3ds形式に変換、Shadeにインポートしてレンダリングまで。

fuRoのプロジェクトでは形に加えて構造も考えて作らなければならないので難易度はかなり上がるのですが、後輩は大丈夫だろうか。

8.04.2010

rainy.tone第二次試作へ

rainy.toneの第二次試作が始まります。前回の試作は大部分を光造形で作ったので強度的に弱かった事と、真鍮ベルがあまりにも重かったため検証中に台座が破損してしまったようです。そこで、今回は台座を金属で制作する運びとなり、作り方、強度などを考慮してディティールを変更しました。

真鍮ベルの重みに耐える強度も必要なので、今回はCG上で形状を検討して寸法を出して図面化した後、アルミ材と木材を使ってモックを作りました。未開封の500ccペットボトルを乗せても平気だったので、脚がプルプル震えていた前回よりもだいぶ頑丈になりました。ただ、もっと重要な課題は揺れる振り子の方なのですが、こちらは作りながらバランスを探るしか無いので大変です。暇を見つけて検証します。

久々に切ったり曲げたりという作業をしましたが、やっぱり作るのは楽しいです。修論とかプロジェクトとか関係なく作品作りがしたい気分です。時間さえ作れれば…

7.31.2010

dyson design engineer

松屋銀座で行われている「風のとおり道-エアマルチプライアーにおけるダイソンの新たな挑戦」とアップルストア銀座で行われた「山中俊治×Martin Peek トークショウ:ダイソンのデザインと技術力」へ行ってきました。


展示会場には数台のエアマルチプライアーが並んでいて、新型の楕円型や首長型も置いてありました。なぜあの形で風が生まれるのか?という風が増大する仕組みについては発表直後に色々資料を探して「気圧差を利用して自然な風を生み出す」という上手いこと考えたなと感心してました。実際に風を浴びてみると確かにフワっと風がやってきます。例えるならこの輪っかは風が吹きこむ窓と言ったところでしょうか。扇風機の叩きつけられる風とは違います。運転音に関しては小さい空間に5、6台置いていたのと、什器天板との共振が起こっているのか若干ノイジーに感じました。あとは「自然風」という特徴を外見から感じないというところでしょうか。確かに個性的で未来的な外観をしていて、革新性を感じる見た目ではあるのですが、エクスペリエンスとしてのデザインとプロダクトとしてのデザインにギャップを感じます。dysonとしては「未来の家電」というイメージを推したいのでしょうね。


トークショーではdyson社内でのデザインエンジニアの仕事についてを語られました。まずdysonの中には「デザイナー」と呼ばれる人はおらず、全員が「デザインエンジニア」であるということ。これは「技術に関して深い理解がなければ最適な形など生み出すことは出来ない」という考えから、デザインエンジニアは製品開発の全工程に関与するそうです。もちろん最初はスケッチによるコミュニケーションも行うし、ダンボールによるプロトタイピングも行い、CADやRPによる性能検証などにも関わります。


それとdysonは最初から扇風機を作り変えようとしていたのではなく、他の製品の開発中に見つけた高速気流の特性を何かに使えないかと考えた末、扇風機というカテゴリに至ったそうです。dysonでは基本的にこの「用途不明だけど面白い現象」を何かに有効利用できないかというスタンスらしいです。普通の企業なら「で?それがどうした。」と一蹴されてしまうところを「出来るところまで突き詰めろ」と研究を容認するdysonの社風が革新的な製品を生み出すことを支えています。この話はホンダっぽいですね。流石にビジネスですから「いつ売り出せるんだ?」的なプレッシャーはあるようです。こうして生み出された利益の多くは再び研究開発費に回り、技術の探求に費やされるそうです。

この様にdysonは最初からニーズを見ているのではなく、流体制御技術に特化して研究し、そこで得られた発見をマーケティングと照らし合わせながら製品化するようです。そのために社内には科学者も大勢いて、日夜研究が行われているらしい。Martinさん曰く、dysonでの製品開発は子供(アイデア)を大人(製品化)になるまで育てるような感覚だそうで、内容的には大学の延長の様な感じで、コスト管理と規模が異なるそうです。

最後にはロボット掃除機などの話題もちょっとだけ出てきてトークショウは終了。dyson、今後も気になる企業です。