10.30.2009

HCD05 : ビジョン提案型デザイン手法

今回は先生が参加しているビジョン提案型デザイン手法について。アーゴデザイン部会や今までのプロジェクトで何回か概要について聞いていましたが、これまでの講義と違ってまだ模索されている手法でまだ代表的な事例に乏しく頭では分かるけど...という感じです。


この手法には大きく3つの要素があります。

1.本質的価値の抽出
ビジョン提案型で重要なのは「問題解決」ではない「新しい価値の創造」です。ここでユーザーが何を望むのかユーザー自身にも分かっていない本質を掘り起こすことが必要になります。また企業はユーザーに対してどう在りたいのかも提案のアプローチとして重要になる。本質はユーザーインタビューやオブザベーションなどから「ユーザーの言葉」を取り出し、その言葉がなぜ出てきたのかを探っていきます。これがかなり難しい。どんな言葉に対しても「なぜ?」と聞くスタンスでいないと聞き手の想像で補ってしまいがちになる。また、企業のドメインも難しく分かりやすい企業ばかりではない。とくにB to Bの企業はまだまだ想像しにくい部分が多々在る。

2.ペルソナ手法
どのようなユーザーに対してサービスを提供するのか明確にします。ここにも抽出された本質的価値が取り込まれます。

3.構造化シナリオ手法
 1.サービスレイヤー:ユーザーにどのような満足を与えるのか?
 2.アクティビティレイヤー:ユーザーはどのような行動をするのか?
 3.インタラクションレイヤー:ユーザーはモノ・サービスとどう関わるのか?
 4.システムレイヤー:どのようにこれらを実現するのか?
やってみると意外に難しいのは最初から具体的に書きすぎてはいけないということ。しかし、よく見てみるとアイデア展開の思考をシナリオという形に置き換えている様にもみえる。「ユーザーの体験を少しずつ詳細にしていく事で、発想を閉塞させないためのアイデア展開の方法」が構造化シナリオ手法の本質ではないのか。


ワークショップや授業などで実践して思うのが、手法を意識しすぎてぎこちなくなること。使い慣れた道具でないと思う様に効率が上がらないのと一緒で、手法のプロセスと自分の思考をなじませることがまず必要そうです。


話の中で提案を考えるデザイナー自身のブランドも重要という話題に。自分のアイデンティティを考えることですね。

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