11.19.2009

特別講義|黒川雅之さん


今年も大学で特別講義に来ていただきました。今回は「素材と身体」をテーマに黒川さんが掲げる8つの言葉についても話していただきました。

「環境」と「物」の定義
環境は物が集まり人の周囲を取り囲む事で出来ている
教室は環境、教室は壁や机、椅子といった物で出来ている。
物の中にも環境がある
椅子には環境性と物性を持っている
椅子の表は母の胸、裏は父の背中
人と物の関係がデザイン、そしてそれは愛情


8つのことば「素材 群体 破綻 気配 偶然 沈黙 曖昧 原型」
素材
岩 存在がデザインの始まり
素材に問う どういう形が良い?

群体
魚の群(魚は群れ全体は知らないが隣の魚はわかる)
森(すくすく育った木もあれば、曲がって育った木もある)
東京(東京は集落の集まり)
全体性を意識
いろんな物があってもそれで調和がとれている。

破綻
枯れるから美しい
始まって終わること
壊れそうだから大事にする

気配
色っぽさ
西洋と日本
陰と陽
気配までが人の一部
気配と気配の間

偶然
生命の誕生
地球の表面は奇跡の空間
死ぬことは宇宙へ帰ること
偶然の中の美
偶然を拾う
書道の墨の掠れやムラ

沈黙
素材に語らせろ
創作者の表現と聞き手の想像
コミュニケーションは伝えることではなく刺激すること
物を渡す様に意思を伝える事は出来ない

曖昧
山と平野の境界はどこか
はっきりとさせないことで新しい美しさを

原型
物のオリジンを見つける事
障子のテーブル、ゴムの〜→黒川雅之


そして株式会社ケイについて
自分が作りたい物を作る会社

1.作りたい物を作る
2.愛せる物を作る
3.職人主義
4.編集という想像
5.国際商品
6.アライアンス
7.雑貨
8.デザイナーズ・ブランド

企てる ・つくる・売る・ケア
ケイが企画し、製造企業とアライアンスし、ケイが販売する
親会社と下請けという関係ではない
だから安くしろとは言わず、クオリティーを上げる事を言う
高いのは当たり前、だってハイクオリティだから
商品に共感してくれる人に買ってもらう
日本で1000個しか売れなくても、世界で10000個売れれば良い
営業で売らず、広報で売る(欲しいから買う)


8つの言葉の説明に加えて、会社の事まで聞けたのは良かったです。「学校では企てる事しか教えないが、デザイナーはその後の事も学ぶべき」だそうです。たしかに企画は基本かもしれないけど、製造や販売について大学の授業でしっかりと触れられた事がない。高専での経験はそういう意味で製造の知識に繋がっているのは良い事だと再認識。

その後の懇親会でも色々な話が出てきました。「今は白熱電球からLEDになってしまった様に、技術も学んで知らなければデザインできない。」「バイクに乗りたいが周りに反対されて結局乗れず、乗れなくていいから部屋に飾りたい」「最近、博士論文を書いた」など。

0 件のコメント:

コメントを投稿